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2004年1月13日号
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今回のコラムは『よど号ハイジャック事件』の真相究明を求める活動を精力的に続けている「救う会神奈川」の事務局から寄稿していただきました。よど号犯の妻や子ども達が帰国する中、よど号グループは「拉致事件」に関与したことを一切認めていません。 | ||
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『北朝鮮に拉致された日本人を救う神奈川の会』(以下『救う会神奈川』)の事務局と申します。まず『蒼い言葉の絆』への寄稿の機会をいただきましたことにつきまして、発行者や関係者の皆さまにお礼を申し上げます。 現在、『救う会神奈川』では神奈川県内の各市町村議会に対して『よど号ハイジャック犯の徹底した捜査を求める意見書』と題する文書を送付し、政府に対して『よど号ハイジャック事件』の真相究明を求める決議を地方議会で採択するよう陳情を行なっています。残念ながら、平塚市・大磯町では全議員に陳情書の配布を行なったのみで実質的な審議は行われませんでしたが、藤沢市・大和市・逗子市・茅ヶ崎市・二宮町では、有志の地方議員の方々のご協力によって陳情書通りの決議が採択されるとともに、現在鎌倉市で継続審議中となっています。 ご承知のように『よど号ハイジャック犯』が関与した拉致事件は日本国内ではなく欧州で行なわれました。そのために、他の拉致事件と比べてみても事件が詳しく解明されるには至ってはいません。しかし、『よど号ハイジャック犯』による拉致事件に遭われた拉致被害者とそのご家族の苦しみは、他の拉致事件の被害者やご家族と決して変わるものではありません。同じ日本人である『よど号ハイジャック犯』によって行なわれた拉致事件の全貌を究明することが日本人としての責務ではないか。この思いが、わたしたち『救う会神奈川』としてこの問題に取り組むきっかけとなりました。そして、活動を開始したわたしたちがこの問題を調べていくうちに、『よど号ハイジャック犯』が拉致事件に関与していたことを裏付ける情報が日本にもたらされていたという事実を知るに至りました。事件の究明を政府に求める陳情運動をわたしたちが始めたのは、『よど号ハイジャック犯』が拉致事件に関与していたことを裏付ける数々の情報が存在していたことを知ったからにほかなりません。 確かに『よど号ハイジャック犯』による拉致事件については、わからないことがたくさんあります。しかし『よど号ハイジャック犯』の関与を裏付ける情報が、断片的ではありますがわたしたちの目に触れてきたこともまた事実です。皆さんは、昨年の6月に放映されたNHKスペシャル『よど号と拉致』と題するドキュメンタリー番組のことをご存知でしょうか。『よど号ハイジャック犯』のグル−プが、大物北朝鮮工作員とともに70年代後半から80年代前半にかけて欧州の各地で日本人の拉致などの工作活動を行っていたことや、欧州各国捜査機関や西側情報機関が彼らの動向を逐次把握していたことを関係者の証言や情報機関の資料を基に明らかにした番組でした。番組の中では、有本恵子さんが大物北朝鮮工作員とともにデンマークのカストロップ空港で北朝鮮に出国する様子を西側情報機関が写真に収めたことが明らかにされ、その写真まで紹介されていました。 この番組を見て非常に興味深かったことは、欧州当局の資料が日本政府に情報として提供されていたという事実です。法務省はその後『よど号ハイジャック犯』の妻達に対して旅券の返納命令を出しましたが、その処分の取消を求めてよど号ハイジャック犯の妻達が起こした裁判の中で、法務省は欧州各国当局の資料を国側の証拠資料として裁判に提出していたのです。政府は、このように欧州における北朝鮮工作員と『よど号ハイジャック犯』の動向を知る立場にありながら、なぜその事実を拉致事件の全容解明の契機にしなかったのか。さらになぜそれを拉致被害者家族の方に伝えなかったか。わたしたちはこのことに強く疑問を持っています。このような情報を一般に公開することには無理があることは十分に承知していますが、せめて拉致被害者ご家族にはその事実だけでも伝えるべきだったのではないでしょうか。有本恵子さん・石岡亨さん・松木薫さんの三人は、欧州で北朝鮮工作員と『よど号ハイジャック犯』に拉致されたことが確認されていますが、その事実をご家族が知ったのは北海道の石岡さんの実家に届いた手紙がきっけだったのですから。 『よど号ハイジャック事件』に関連して、わたしたちが気になる情報がさらにふたつあります。ひとつ目は、一昨年の日朝首脳会談直前の報道についての情報です。9月17日の日朝会談直前に、『有本恵子さんたち3人が帰ってくる』とか 『北朝鮮が有本恵子さんたちの生存情報を出す』といった報道が日本中を駆けめぐったことがありました。わたしたちが確認したところでは『有本さん生存確認』を報じる号外まで印刷していた新聞社まであったそうですが、後にマスコミ関係者から聞いた話ではその情報源は時事通信社だったといいます。単なるガセネタを掴まされたと言ってしまえばそれまでですが、そんな不確実な情報をもとに新聞社が号外まで準備するものなのでしょうか。わたしたちは、なぜこのような情報を時事通信社が掴んだのか、そしてその情報をなぜ新聞社が『真実』だと信じたのか。新聞社が真実であると信ずるに足る確証があったのはないか。そう睨んでいます。拉致事件のような重大な事件について、マスコミの責任としてその背景と真相を明らかにしてもらいたいと思います。 ふたつ目の疑問点は、欧州で拉致されたのが有本恵子さん・石岡亨さん・松木薫さんの三人だけなのか、ということです。石高健次氏の著書である『金正日の拉致指令』では、『よど号ハイジャック犯』の関与した拉致事件について以下のように記述されています。『高沢はまた、ほかのメンバーらと話した内容を総合するとヨーロッパから誘拐・拉致された日本人は10人余りにのぼるという。そのうち、一人だけがよど号の仲間として活動している。残りは有本恵子らと同じ悲惨な状況にある可能性が高い』と(同書276ページ)。石高氏の著作だけでなく他のよど号関連の書籍においても同様の指摘が行なわれています。欧州から拉致された被害者が10人以上にのぼるというのが事実であるとすれば、有本さん・松木さん・石岡さん以外の7人以上の拉致被害者はいったいどうなってなってしまったのでしょうか。 先日、『特定失踪問題調査会』にこの件について確認してみたところ、80年代に欧州にで失踪した届は3〜4件ほどあるといいます。 これでは数が合いません。『よど号ハイジャック犯に拉致されたのは10人』というような具体的な情報が出てくるのにはそれなりの根拠がなければなりません。もし、ご家族や知り合いで80年代に欧州で行方不明になった方がいらっしゃったり、そのような噂を聞いたことがあるならば、是非『救う会』や『特定失踪問題調調査会』に情報を提供してください。黙っていても絶対に拉致被害者は帰ってきません。また、警視庁サイトでも呼びかけているように、欧州で不審な日本人に『アルバイトを紹介する』とか『共産圏を旅行しないか』などと声をかけられた方がおられましたら、同様に『救う会』や『特定失踪問題調査会』にお知らせ頂きたいと思います。有本さん・松木さん・石岡さんの事件だけでなく、残る7人以上の拉致事件を特定する手がかりを集めて、いまだ全貌が解明されていない『欧州におけるよど号ハイジャック犯による拉致事件』の解明へと繋げていきたいと思います。 もしも現在『よど号ハイジャック犯』グル−プを支援をしているひとびとがこの文章を読んでいる方がいるのならば、わたしたちは次のように申し上げたい。もういい加減に目を覚まして欲しいと。よど号グル−が30年近く何をやってきたのかを直視して欲しいと。彼らは完全に北朝鮮の工作組織の歯車のひとつとして日本人拉致などのテロ行為をやってきました。その北朝鮮は自国民を300万人も餓死させ、さらに20万人もの国民を強制収容所に送り込むような独裁国家なのです。『よど号ハイジャック犯』はそのような独裁国家の手先になっているという事実をしっかりと直視して欲しいのです。それでも彼らを支援するというなら、拉致された有本さん・松木さん・石岡さんのご家族のことをひとりの親として人間としてよく考えて欲しいと思います。もし、あなたの家族が彼らに拉致されても支援をできるのか。どうか現実をしっかりと直視して欲しい。これが現在も『よど号ハイジャック犯』グル−プを支援しているひとびとへのわたしたちの正直な気持ちです。 拉致問題は一昨年の9月17日に大きな展開を迎えました。しかし、『よど号ハイジャック犯』の関与した拉致事件はまだその全体像がわかっていません。『よど号ハイジャック犯』によって拉致されたとされる石岡亨さんのご両親は他界され、松木薫さんのお父様も他界されるなど、拉致被害者ご家族はすでに高齢化しています。関係当局が日夜奮闘されているとわたしたちは信じておりますが、もう一刻の猶予もなりません。ご両親が健在のうちに、子どもたちと再会させてあげたいと心から思います。政府には事件の究明に向けた一層の努力を求めたいと思います。出来る限りの手段を用いて早期に拉致された日本人全員の帰国を実現するように努力して欲しいと思います。わたしたち『救う会神奈川』も一層の活動を続けていく所存です。
平成16年1月13日 |
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